リンゴ狩り#2・・(練習作品、未完)
イチロー君は砕け散ったリンゴの破片を官給品のビニール袋に入れて、危険青果物
取り扱いの事務所へと向かいました。半官半民のこの事務所は、粉砕されたリンゴ
をグラム幾らで買い取ってくれるのです。
「今日は2400円だねえ」
係官は計りに乗せられたリンゴの破片と針の目盛りを交互に見て、そう言いました。
「結構」
イチロー君は、いつも「結構」の一言で済ますので、相手の係官も2400円を
カウンターに出し、受け取りの領収書にサインと捺印を、と求めました。
「一日2400円で暮らせるのかね」
「大きなお世話だ」
「今時、君見たいのは珍しいんだよ」
「だから、何だ?」
「官給品で軽機関銃の余ったやつがある。ライフルの代わりに使ってみちゃあ
どうかな?」
「どんなやつだ?」
「銃身は普通のやつか」
「クルツだよ。扱いやすいと思うが・・」
「試し撃ちできるか」
「ああ、裏庭で出来る」
イチロー君は事務所の建物の裏に出て、係官が軽機関銃を持って来るのを
待っていました。
(つづく)