「組み」体操
今週のお題「運動会とスポーツの秋」
おれは、人間ピラミッドの頂点から、遥か彼方を見ていた。空と街と海が見えた。
笛の合図とともに、ピラミッドの頂点にいる者は、「踏み台になってるやつら」を
文字通り「踏み台にし」て、立ち上がる。
おれは、自分が人間社会のヒエラルキーの頂点にいるかのように感じた。だって、
小学生なのに「ヒエラルキー」とか、知ってるおれってすごいじゃーん。そうだ。
やはり、頂点に立つ人間はおれなのだ。ヒエラルキーの頂点に近づけば近づくほど
人間の数は減って来て、居心地が良い。ここは、一日の中で最も長く日の当たる
場所であり、夜が来るのが最も遅い場所だ。人間社会の中で、おれが最も「天に近
い」場所にいるのだ。古代メソポタミアの王たちと同じだ。(先週、社会で習った)
笛が鳴っておれは、ピラミッドの頂点から降りることになった。何だか、名残惜しい
ぜ。おれは、食物連鎖の頂点にいるべき生物だ。(先週、理科で習った)
ヒエラルキーから降りて来て、おれは「底辺階級」になった。地に足をつけて
いられるのは、なかなかいいものだぜ。ラピュタのバズーになった様な気分だ。
(先週、金曜ロードショーで見た)まだ、ヒエラルキーに「組み」込まれたまま、四
つんばいになっているやつらを、敢えて、見上げてやりながら、「底辺階級」のおれ
は、旧約聖書『バベルの塔』の話を思い出していた。(先週、国語の授業でやる予定
だったのに自習になってしまい、読んで感想文書いて終わり、になった)
「神はお怒りになるだろうか?」と小学四年生のおれは、いつになく、敬虔な気持ち
になり目を伏せて、「人類の行く末」とかを案じた。ふと、目を上げると
人間が降って来た。
ああ、やはり、神はお許しにならなかったのだ。こんな危ない事とか。
巨大化する組体操ピラミッド、最大200キロの負荷 大学准教授「これのどこが『教育』なのか」と指摘 : J-CASTニュース