見学
今週のお題「運動会とスポーツの秋」
おれは、体育の授業はいつも見学だった。運動会にも思い出らしい思い出はない。
人間が何人も走ったり、跳んだり、数珠のようにつながって走ったり、建物のレンガ
みたいに積み上がったり、踊りを踊ったり、何かを受け渡しながら、やっぱり
走ったり、その他いろいろな事をしたり、校長が挨拶をしたり、教頭が説教をした
り、教育委員会の偉いさんが偉そうな事を言ったり、それをみんなが突っ立ったまま
忍耐強く聞いていたり、挙句、貧血で倒れたり、保健室に運ばれたり、まあ、ホント
にいろいろだったぜ。おれは、見学していただけだった。(おれってシンプル)
おれは、今年も見学だから、まあ、せいぜい、大人しくしといてやるか、みたいな
殊勝な事とか考えながら、組体操の人間ピラミッドを見ていた。そしたら、人間が
振って来るじゃあないか。空から、バラバラ、バラバラ、幾人も幾人も・・・。
幾ら異常気象でも、こらあチョッと、やり過ぎだ。せめて、人間じゃあなくて
蛙とか魚とかに出来なかったものか、と、おれは神に問うてみた。
神は答え給うた。
「人間多過ぎ」